上顎前突(出っ歯)

上の歯が下の歯よりも、大きく前に出ている状態です。
上顎の骨の発育が大きすぎたり、下顎の骨の発育が小さすぎたりするときに生じます。また、上の前歯が外に強く傾斜していたり、下の前歯が内に傾斜している場合もあります。上顎の前歯をぶつけたりしやすい歯並びで、唇を閉じるのが難しく上顎の歯ぐきが目立つ事もあります。下の前歯が上の前歯の裏側の歯ぐきを傷つけていたり、口で呼吸することにより歯ぐきに良くないことがあります。
原因としては、遺伝のほか、舌のくせや、口呼吸などの機能的なものも考えられます。上下の顎の骨の成長発育状態の調和を図る場合は、早い時期(8歳~10歳)に開始するのが好ましいとされています。

下顎前突(受け口)

下の歯が、上の歯より前にある状態です。
上下の前歯の傾きに問題のある場合と、下顎の骨の成長が大きすぎたり、上顎の骨の発育が小さすぎたりする場合に生じます。うまく咬めないだけでなく、発音に影響することもあります。
遺伝や、舌の癖、呼吸等が原因に挙げられます。
顎の骨に問題のある場合は、身体の成長発育の活発な小学生くらいからの治療で、上下の顎の骨の成長発育状態の改善を図ることが望まれますが、成長のメドがたつまで長期になることもあります。さらに、程度によっては乳歯のみの時から開始したほうが良い場合や、成長が過ぎると顎の骨を切る手術が必要な、難症例へ移行する事もあります。

八重歯・乱ぐい歯

何本かの歯が、捻れたり、本来とは違う場所に生えたり、歯と歯が重なって凹凸になっている状態で、矯正歯科では叢生歯列といいます。
上顎の犬歯が飛び出している八重歯は日本では気にしない方もおられますが、欧米では「ドラキュラの歯」と呼ばれ、嫌われます。
歯が重なっているために、歯みがきが十分できず、口臭、虫歯、歯周病の原因となります。顎の骨の大きさと、歯の大きさとの調和がとれないために起こります。
一般に永久歯が生え揃ってからの治療と思われがちですが、乳歯から永久歯への交換期(小学生、中学年)からの治療で、抜歯の必要性が低くなります。治療開始が遅いほど、永久歯を抜歯する場合が多いです。早期受診、早期対応が必要です。

開咬

奥歯はかみ合いますが、前歯でものをかみ切ることが難しく、発音に影響が出る場合もあります。前歯が当たっていないため、奥歯にかかる力が大きくなりすぎ、奥歯や顎関節に障害が出たりすることもあります。
指しゃぶり、舌を突き出す癖、口呼吸や、遺伝などの、上下の顎の骨の垂直方向の発育や、前後方向の不調和などにより生じます。
乳歯から永久歯への生え変わり、口のなかの状態が大きく変化する小学生頃から治療を行い、悪い癖の改善などを図り、上下の顎の骨の成長発育を良いほうへ導くことが望まれます。
骨格に不調和があれば、治療は長期となる場合が多いです。

矯正歯科治療に伴うリスクや副作用について

以下の一般的なリスク・副作用がありますが、すべての人にすべてのリスク・副作用が生じるわけではありません。

  1. 矯正装置装着に伴う痛み、不快感や生理的障害(食べづらさ、話しづらさ等)が生じることがあります。数日~1、2週間で慣れることが多いです。
  2. 治療中に歯磨きがしづらくなり、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。また、歯を動かすことにより、隠れていた虫歯が発見されることがあります。
  3. 治療中に歯磨きがしづらくなり、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。また、歯を動かすことにより、隠れていた虫歯が発見されることがあります。
  4. 治療中に顎が痛くなる等、顎関節の症状が生じることがあります。
  5. 装置の金属等のアレルギー症状が生じることがあります。
  6. 治療上、歯の形を修正したり、噛み合わせの微調整をしたりすることがあります。
  7. ごくまれに、歯と骨が癒着し歯が動かなくなることがあります。
  8. ごくまれに歯の移動により歯の神経が死んでしまうことがあります。
  9. 様々な原因で治療方針の変更が必要な場合があります。
  10. 装置を外す際に歯面に小さな亀裂が生じたり、治療済みの歯冠修復物が破損し再製の必要性が生じたりすることがあります。
  11. 歯の動きには個人差があるため、説明する治療期間は一般論で治療期間が長くなる場合や短くなる場合があります。装置の使用状況、定期的な通院頻度、患者様の協力度によって大きく変わります。
  12. 歯を並び終えた後、保定装置の使用状況により後戻りが生じることがあります。
  13. 顎の骨の成長発育や親知らずの萌出により、噛み合わせや歯並びが変わることがあります。
  14. 矯正治療は途中での中断や元に戻すことは困難であるとお考え下さい。

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